@テーマ【不思議の国のアリス】

アリスは家の庭で姉と一緒に本を読んでいた。
その本の内容が暗黒魔術であったり、精神崩壊についてであったり、戦争における暴虐だったりと年頃の少女が読むのには大層向いてなかったりしても、うららかな午後のひと時だ。誰がなんと言おうと本人達にとっては!!
そんな中、読んでいた本(拷問について)を読み上げてしまい暇だったもので、庭をぐるりと見回した。美しい庭である(人はそれを森と称する)。
そして、ウサギが歩いているのだ。大きな時計を持って「ああ、大変だ。急がなくては女王を怒らせてしまう!」と言って走っている。
アリスは思った。面白そうだ、と。また、イイ暇つぶしになりそうだとも。
喋るウサギの後をこっそりついて行き、穴を発見した。なんてこと! うちの庭師はなにをやっているの! とも、アリスは思ったが周囲を見回してもウサギの姿は見当たらない。
ああ、この穴に入ったのね。とあっさり、躊躇いもなく、底が全く見えない暗闇へと落ちていった。
後は適当に出てくる奴らを適当に利用し、現在”まだ”頭の働くようであるチャシャ猫と森の奥深くで話していると言うわけだ。


「はぁ、なに莫迦言ってのよ。何でそんなイカレ女が女王になっていれるの?さっさとクーデターとか興して殺しちゃなさいよ」
「おいおい、んな過激なこと謂うなよ。誰が聞いているかわかんないんだぞ」
「あら、そうなったら脅して、私の部下にするわ。安心して、私の専攻は精神医療だから」
「なんだ?その精神医療って?つか、お前のほうが女王よりよっぽど怖い」
「簡単に言うと精神医療って謂うのはね、相手の心を知って相手を励ますようなものなんだけど、うまく利用すれば相手の心を思いのままに操れるの。うふふ、やってみたかったのよねぇ」

生粋の魔女さえ崇拝しそうな笑みと哄笑を浮かべ、アリスは言い切る。そして、

「さっさと女王を廃して私が女王になってあげるわ」
「え、うそ、ヤ、やめてくれ!!」
「何でよ? 幾ら私でもいきなり首をちょん切りなさいなんて言わないわよ」
「それでもお前が女王になるのは怖すぎる」
「ひどいわねー。確かに、ちょーーーっと拷問とか? してみたなーー、とか思っちゃってたりするけど。女王ほど非常識じゃないわよ」

わざわざ、可憐そうな少女を装った口調で言われても内容は怖すぎる。幾らなんでも、怖すぎる。むしろ、一般的に見れば美少女と言っても過言でもないアリスの口から出る言葉は怖すぎる。

「勘弁してくれ。もういい、帰らせてやるから帰ってくれ」
「イ・ヤv」
「帰れーーーーーーーーーーー」
「イヤよー。こんっなに面白いとこ無いもの」

うふっ、とアリスはにっこり微笑み、チャシャ猫は頭を抱え苦悩している。なんとも正反対な二人である。

「か、家族が心配するぞ。いいのか」

チャシャ猫はなんとかアリスを帰らせることが出来そうだ。と言う一縷の望みを賭けて、アリスに問う。その瞳にはなんとしても帰らせなくては! と言う熱い情熱がこもっている。ちょっとウザイかもね。

「うん! 大丈夫。父様も母様も姉さまも多分心配しなくても大丈夫。我が家の教育方針で、どこへ行っても生きれるような訓練はばっちりしてあるから」

深層のお嬢様っぽい姿のアリスからはとても思いつかないのだが…
チャシャ猫もそう思ったようで怪訝そうな顔をしている。けれど言わない。何故って? 決まっている、怖いから。

「ほら、チャシャ猫。さっさと私を女王のとこに案内しなさい」
「…………はい」

しくしくと、涙を浮かべながらチャシャ猫はアリスを城へ案内する。その途中、アリスたちは女王に一揆を起こそうとしている一行に出会い、そいつらを洗脳して、崇め奉らせて、女王を殺させました。怖いですね。世が世ならアリスは傾国の寵姫にもなれたでしょうね。

その後、アリスは見事に女王になって善政をしきました。そしてこっそり、裏で色々”何か”をしようとしましたがチャシャ猫の必死な懇願でやめる姿を見て諦めました。
え? 懇願を聞き入れたからですか? って、イエイエ、そんなことではアリスは退きませんよ。
アリスは暴虐非道な試みよりも、チャシャ猫をからかう方がよほど楽しいことに気付いたってだけです。

めでたし、めでたし。

(チャシャ猫は外見は成人男性ということで。)



Aテーマ【人魚姫】

「さっさと死ね!」
キラリと光る短剣が男の心臓めがけて突き刺さる。

「な、何事?! 人魚姫」

かと思いきや、男は驚異的な運動神経で避ける。

「王子。私のことを愛しているのよね?」

ゆらりと、人魚姫は立ち上がり俯いた。声はなんとも悲壮そう。何か事情があって殺そうとしたのだな、と思わせるには十分だろうね。

「どうしたんだい? 僕の愛しい人魚姫。勿論君の事は、空よりも高く、海よりも深く愛しているよ」
「だったら死んで頂戴」


にっこり微笑んで人魚姫は再度、短剣を振り下ろす。あれ? さっきの悲壮さはどこへ?


「何故?!」
「うーんとねー、なんかわかんないけどさ、あんた殺さないと私消えちゃうらしいのよねぇ。私消えたくないし、だから死んで」
「イヤだ!!」
「ちょっとーー。私のこと愛してるって言うなら、身を呈してかばいなさいよ。んで、死んで」
「死にたくないから無理だ!! なんだその展開。しかも、ヒ、姫は私のことを愛してないのか?」
「うん。何で『一目見て惚れました。私の后になってください。この薬を飲めば人になれますから』って無理やり連れ去られて、意識が朦朧としているときに無理やり薬飲まされて、勝手に人間にされて、そんで愛しているわ。つう奴に会って見たいわ!! 莫迦王子!!」
「うっ、それは…」

王子は言いよどむ。そりゃ、言いよどむわな。そんなことしていれば。人魚姫哀れだね。

「何時までたっても帰ってこない私を心配して探しに来てくれた友達から言われたので殺すわね」
「いいのか? ぼくっ、僕は大国の王太子だぞ!! 殺したらどうなるか分かっているのか!!」

小物くせー、台詞だな王子。微妙に悪役っぽいけど、それを上回って馬鹿くさい。

「あー、それねー、あんた王太子から廃嫡されるみたいよー」
「な、なぜだ? 僕以外に王に相応しいものなど居ない!」
「私は人魚姫。海を司る王の子。攫えばそれは、海に敵対すると言うこと。今、海は大荒れよ」

ふふふ、と嘲りの笑みを浮かべ、人魚姫は王子を見遣る。人魚姫のいる、王子の国は海に面した大きな国だ。海を使い大きくしたと言っても過言ではない。
そのような国が海に喧嘩を売り、生き永らえるのは不可能だ。理解の出来なかった子など王子として失格だ。王になどなれるわけがない。

「この国を滅ぼしたくなかったら、さっさと死になさい。そして、私を海に戻しなさい」
「く、」
「もー、仕方ないわ。王!」
「はい」

あっさり出てきた。王様。つまり、馬鹿王子の父親。威厳もクソもないんだけど。

「はい。この短剣で王子の心臓を刺し、海に捨てなさい。そうすれば我が王も許すと言っているわ」

ぽいっと王に短剣に渡す。言っている内容は父として、とても残酷だけれど王としては必要なこと。
そうしなければ、国は滅びる。海は世界中に連なっているから、他に国にも支障を及ぼしているだろう。それが原因で戦争も起こりえるかもしれない。

「かしこまりました」

王はさっさと息子の首を掻っ切って、さっさと海に捨てられた。私も、船で住処の一番近くまで寄ってもらって海にもどれた。
でもアレだね、王子嫌われてたみたいだね。だって、殺した王子を海に捨てるのに兵士を呼んで、王子の死体見たときの兵士とか重鎮、嬉しそうだったもの。
多分、国的には馬鹿な王太子が消えて万々歳ってとこだろうね。王子、不憫。同情はしないけど。



Bテーマ【ラプンツェル】

「髪を垂らしておくれ、ラプンツェル」
「嫌よ。髪が引っ張られて痛いもの」
「やれ。ラプンツェル」
「だったら、縄を持ってきなさい。それで自分で昇ってきなさいよ。私の髪が引っ張られて痛いじゃない」
「分かった」

あ、引き返していった。本当に縄を持ってくるのかしら? 梯子は不可能よね。そもそも、どうやって縄を私に預ける気かしら?
それにしてもよくもまぁ、毎日来るわね。幾ら城が近いからって、王様って暇じゃないでしょ。あの俺様は。
アー、憎憎しい。あの喋り方。あの俺様っぷりにキレて「あんた何様よ!?」って言ったら「王様」って返されたのよね。思い出すだけでもむかつくわ。

「おい、ラプンツェル」

背後から声がした → 振り向いた → 男が立っていた → 悲鳴

「あ、あ、あん、どうや、え、う」
「あんたどうやって現れた? え、嘘でしょう? で、だろ?」

コクコク。多分口を開けても意味のなさない言葉が溢れ出てくるでしょうね。

「俺はな、魔法使いなんだ。所謂、瞬間移動できたわけ」
「嘘」
「本当。さて、ラプンツェル、俺と来ていただけますか?」
「え、それは勘弁して」
「何で?」
「だってさ、私は孕まされて、あんたは失明。そんな茨の道を進む気はないわ。ここにいれば私は平和だもの」
「そんなことしないからさ、俺と街を見てみない? つまんないだろ、こんなとこじゃ」

うっ、物凄く心惹かれるわ。確かに街に行って見たい。

「どうする? 俺はここからお前を連れて街にいける。至極安全な方法で。保護という名目で城か、もしくは信頼できる場所においてやろう。それともお前は、ここで死ぬか?」
「少しは言葉を選べ!! 莫迦王」
「はい、不敬罪確定」
「ふっざけんなーー」
「ほれ、行くぞ。罪人」
「離せーーーー。てめえと一緒なんかに行くかー」
「そうか、そうか、聞け」
「ぐえっ」

後ろ襟を掴んでいた手が急に力をこめられた。くるっと反転。私の前に王の顔がある。ついでに言えば、がしっと頭を大きな手でつかまれ逃走不可。

「何よ」
「俺は独身だ」
「そりゃ、そうでしょ。じゃなかったらこんなとこに入り浸るわけもないわね」
「心配性な大臣共が勝手に嫁を選びやがった」
「それはおめでとう」

うん。めでたい。よくやった大臣。これで私はこの男から解放される。嬉しいな

「俺の好みじゃねぇんだよ。言いかよく聞け。お前はこれから俺と一緒に城に行って、お前が恋人の振りをしろ」
「は? ふざけんじゃないわよ。私は一般市民。無理よ、無理」
「ほう。じゃあ、お前はこの塔に火をかけられ死んでもいいというわけだ」
「…どういう意味?」
「頭が悪いお前に優しい俺が丁寧に説明してやるから心して聞け。一回しか言わないし、拒否権はお前にない」
「はいはい、それで?」
「この塔に魔女が住んでいる。気味が悪いから何とかしてくれ。という、内容の意見書やら、住民の苦情が来ててな、この俺自らが視察に来てやったわけだ。結論、有害」
「……横暴よ」
「だが、俺がなんと言ってあいつらは勝手に、此処に火をかけるぞ。さぁ、どうする?」

くくっ、と笑う様は似合っている。アレだ。悪魔だ。悪魔がいる。

「わかったわよ!! やればいいんでしょ、やれば! その代わり、ちゃんと私に居住地を提供しなさいよ!」
「ああ、分かった。最初からそう言えばいいのだ。お前は見目とスタイルだけはいいのだから」
「変っ態!!」
「では、行くか。覚悟しておけ。ラプンツェル」



Cテーマ【シンデレラ】

「あら? お母様、散財はいい加減にしてくださいませネ。いい加減そのご自慢のナイスバディーを使って稼いでもらわなければなりませんからね、そこにいるお姉様方もそうですわよ」
「……シンデレラ、貴女もお城のパーティーへ行かないかしら。そろそろ時期でしょう?」
「いえいえ、結構ですわ。そんな身の上ではとても、とても」

ぴきっと、お母様の眉間やらこめかみに皺がはしる。あらいけない。お母様の美貌は、数少ない長所なのだから。
しょうがない。行くか。どうせ、口うるさい継子が上手く玉の輿に乗ればいいなって思っているんだろうな。自分で言うのもなんだけど、私結構美人らしいし。
お姉さまたちは、ダメね。性格の悪さが浮き上がっているし、素行もよろしくない。贅沢がしたいお母様は、自分の娘でなく希望が在りそうな継子の私にかける気ね。
まぁ、いいわ。美味しいご飯食べたいし、行くとしましょうか。

「あの、お母様、やっぱり連れて行ってもらえないでしょうか?」
「ええ、ええ、よろしくてよ。貴方達は家で大人しくしてなさい!!」

始めの言葉、私。後の言葉は自分の娘へ。多分あの人たちを連れて行くと価値が下がるとか思ってるんだろうな。

「何にしましょうか。ドレス。シンデレラはやっぱり白よねぇ」

と、うきうきしながら選んでいるお母様を置いて私は自室である屋根裏へ向かう。だって、めんどくさい。

”ドロン”

大きな音と煙が大量に現れた。どうしよう。部屋が汚れちゃう!!

「ああ、シンデレラや、かわいそうな子。城の舞踏会に行きたいかえ?」
「あなた、誰? それに今日、私行くし」
「なんてこと! それじぁあ、意味が」

ブツブツうるさい。なんか、多分、魔女、と思わしき物体が現れた。面倒ごとは勘弁よ。

「ねぇ、魔女。何の用よ?」
「なんっで、行っちゃうのばかーーー(エコー)」

あ、消えた。涙流して絶叫して消えた。魔女っぽいのが。ふうっ。よかった、よかった。

「シンデレラー」

あ、お母様が呼んでる。意外と早かったわね。もう狙いを定めてたのかしら?

「シンデレラ、早くお風呂に行ってらっしゃい。貴方達シンデレラは任せたわよ」
「「お任せください」」

なんか、メイドが、すんごい目を輝かせているんだけど。やったー、とか腕に磨きをかけさせてもらいます。とかみんな口々に言ってるんだけど。
勝手にメイドの仕事とかぶんどっていたのが不味かったかしら? だって、ちくちくとするお母様たちのイビリの中に入る気がしなかったんだもの。

その後。
徹底的にいじられました。
いい香りのする、私好みの香油を塗りつけられ、複雑怪奇に髪を結い上げられ、コルセットで締め上げられて、白のドレス着せられて、重そうな修飾品をつけられました。

「綺麗だわ、シンデレラ。コレで王子もいちころね!」

メイド達も頷いているし、中には涙を浮かべている人もいるし、ちょっと、憂鬱。

「さぁ、王城へ行きましょう」


***


綺麗。そう綺麗だった。金、かけているだけあるわ。さすが王城。

「さぁ、シンデレラ。頑張ってきなさい」

お母様はそれだけ言うとどこかへ行ってしまった。そのほうが助かるのだけど。
きっと、「頑張ってきなさい」の後には金持ちそうな殿方を落としまくりなさいね。か、王子を落としなさいねって言うのがあるんだろうなぁ。
ふう。さて、美味しそうな料理を適当に食べて、庭園でも見てきましょうか。有名だし。めんどくさいことには関わりたくないもの。

「お嬢さん、私と踊っていただけますか?」
「喜んで」

壁際によっていたら、異様に煌びやかな男がやってきた。これが例の王子だろ。断るにもいかないしね。

「なぁ、あんただろ。シンデレラって?」

周囲の視線を独占して踊っている中、耳元で私にしか聞こえない程度の声量で囁かれた。王子のくせに砕けた言葉を使うのね。意外。

「そうですが? 何か?」

言っておくが私は王子という名の付くような人物に面識はない。一体なんだ?

「継母やその子らと仲が悪いって聞いたんだが嘘か?」
「事実なんじゃ在りませんか? あの人たち、私を嫌ってますから」
「ふーん、じゃあ何で、自分の子を差し置いてお前だけをこの舞踏会に連れてきたんだ?」
「何で貴方に話さなければならないのですか? 不快ですわ」
「くくっ、お前面白いな」
「それは有難うございますわ。王子」

早く終わってくれ。もう、疲れた。

「なぁ、お前俺の后決定な」

……普通、普通じゃないけど、普通のシンデレラって十二時の鐘がなる前に逃げて(十二時まで踊っている気になんかなれるか!)、数日後に落としてしまったガラスの靴を頼りに探すって内容よね?
虐げられた、可哀想なシンデレラ。王子様に晴れて見つけられて、結婚して幸せになりました。って奴よね? 私はそんなのありえないと思うけどさ!!

「なにを仰ってますの? 戯れもいい加減にしてくださいまし」
「戯れじゃないし、本気。お前のこと気に入った。后が嫌だったら側室でもいいぞ。側使えでも。お前、有能そうだし」
「あ、有難うございます。でなくて、お断りしますわ。お母様の思い通りなるのは気に入りませんので」
「どういう意味? 聞かせろ」
「深い意味はありませんわ。ああ、曲が終わりましたわ。では、」

曲が終わった事をいいことにさっさと、ひらりと王子の追及を逃れた。お目当ての庭園へ行こう。そうしよう!

「まて、こら」

たっぷり、怒気の孕んだ声。うん、さすが王族。威厳はあるわね。あ、ちょっと、よれよれだ。多分、他のお嬢様たちにもみくちゃにされたんだろうなぁ。ご愁傷様です。

「何でしょうか?」
「さっさと逃げやがって、少しは女避けになれよ」
「お疲れ様です。王子。何用でございましょうか?」
「さっきの話の続きだ、ボケーーー」
「王子、そんなにカッカしても宜しくありませんよ」
「なにが宜しくありませよ。じゃねーー。はぁはぁ」
「お母様が贅沢したいそうなので、玉の輿に乗ってほしくて、王子を落としなさいというわけで連れて来られましたの」
「いきなり言うなよ」
「言えと仰ったのは王子でありましょう?」
「はい、俺です。すいません、俺が悪かったです。俺の后になってください」
「だから、お断りしますといっているじゃありませんか。私でなくても、王子なら選び放題でしょう」
「あんな奴ら、ヤダ!」

なんか目に涙まで浮かんでる。苦労しているのね。でもなぁ

「頼む」

必死だなー。でも、家にいるのも結構疲れるし、諦めるか…

「王子、私に何を求めていますの?」
「仮面夫婦」
「…王子、意味分かっていますよね」
「おう!」
「……分かりました。そちらのほうが楽ですし、契約ということでなら構いませんよ」
「よっしゃーー」


シンデレラは王子と二人で仲良く暮らしましたとさ。(適当)




シンデレラ後日談。


「王子、どういうことでしょう?」
「な、何が、どうした? シンデレラ」
「ふふ、私ね、他の王子たちと仲良くなったんですよ」
「うん」
「これなんですか?」

ピラリと出てきたのは紙。最高級な羊皮紙。無駄に高いのが余計に悲しくなる。
其処に書いてあったのは、賭けの表。そこに書いてあるのは、誰が一番早くシンデレラを落とすということ。落とすっているのは部下にでも何でも可。

「どういうことなんでしょうか? 王子」
「どうやって、それを…」
「なんか怪しかったのでちょっと脅しただけですわ。ダメですわよ。王族がこれでは」

怖い。今のあんたに逆らえるのなんかうちに居るわけないだろ!!
笑顔なのになんで怖いんだよー、と王子は内心絶叫中。

「早くお言いなさい!!」
「はひ」
「さぁ」
「えっと、うちの王族の中でシンデレラが一番人気で、側においておきたいなぁ。という話になって、」
「はい、それで」
「お前、滅多に舞踏会に出てこないから何でもいいから一目みたい! という話になって」
「どなた方と?」
「俺の兄弟と、叔父上と、従兄弟」
「左様ですか。王子」
「なんでしょうか…」

もはや虫の息の王子。これが跡取りってかなり国の先が心配だね。

「次の舞踏会、一人で言ってくださいね。私、ちゃんと不仲説流しときますから」
「シンデレラーーー。それは許してください」


暫らく、王城では王子が笑顔を浮かべている婚約者に土下座を浮かべているのが見れたとかなんとか。





2006/09/01〜2007/04/01
拍手ありがとうございました。